サステナビリティ戦略
わたしたちのサステナビリティ戦略は以下の通りです。
“ライフサイクル思考に基づくビジネス環境の構築、商品コンセプトから使用終了までの循環を促進する原材料や製品の研究・開発のためのプラットフォームの確立すること”
The Need
必要性
アイファーマッサンスはブランド設立当初から変わらず、2050年までに世界のCO2排出量を正味ゼロとするカーボンオフセットへの移行という目標を持ち続けています。ブランド独自としては、2030年までのネットゼロを目標に掲げ、1年ごとに進捗を見直して、さらに減らしていく計画を立てています。
今も地球規模では温室効果ガス(GHG)の排出と吸収のバランスが崩れ、温室効果ガスが蓄積され続けています。このような状況を食い止めようと、2015年にパリで開催されたCOP21で採択されたのが、2050年までに温室効果ガスの排出量ゼロを目指すという「パリ協定」です。
【パリ協定の主な内容】
◆世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする。
◆食料生産を脅かさない方法で気候変動を逆転させ、温室効果ガスの排出量を抑えるための開発を促進する。
◆経済の発展と温室効果ガス排出量削減のための開発を両立させる。
アイファーマッサンスの炭素排出量のほとんどは、サプライチェーンにおける資源や生産などの上流と、製品の配送や廃棄など下流のScope3に関連しています。
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2 : 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
画像:環境省 グリーン・バリューチェーンプラットフォームよりhttps://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/index.html
温室効果ガス削減のための戦略として、私たちは次の4つの分野を優先していきます。
- 廃棄物の活用と削減
- 再生可能な農業の研究
- 新世代の再生可能素材の開発
- クリーンエネルギーの選択
Ambitions
大いなる夢
SDGsのほぼすべてが、気候変動とファッション産業に関係しており、私たちが優先分野で取るべき行動を決定するための重要な基準となっています。
これらの優先分野への取り組みに関するアイファーマッサンスの哲学は、以下の原則に基づいています。
“大きな夢を持ち、コラボレーションを受け入れ、
業界の「ベストプラクティス」に基づいて革新する”
材料の研究開発においては漸進的な微調整ではなく、変革的な変化を推進します。わたしたちが追究している変化とは、ファッション業界やそれ以外の分野にも応用できるものです。
また、わたしたちはまだまだ小さなブランドに過ぎません。そのため、外部のサプライチェーンとの強固なパートナーシップの確立によって、GHG排出量削減の目標に近づくことが可能となります。
Priority Areas
重点分野
◆廃棄物の活用と削減
サステナブルな廃棄物マネジメントのゴールは、天然資源の消費量を減らし、できる限り再利用し、廃棄物を最小限に抑えることです。
そこで、廃棄物資源に対して3つの側面からアプローチしています。
第1に、さまざまな種類の廃棄物、食品・飲料の廃棄物、生食用作物の未利用部分の有効活用と、再生農業によって新世代の代替材料を生産するプロジェクトに取り組んでいます。具体的には、自社オリジナルの植物由来ヴィーガンレザーの開発が進んでおり、その原材料となる農作物の生産も行う計画があります。
第2に、サプライチェーン全体で過剰な水の使用を削減または排除すること。
第3に、生産過程で発生する廃棄物を継続的に見直し、包装を合理化することです。 中長期的には、自社工場を所有するか工場とパートナーシップを結び、廃棄物の管理を直接行うのを目標として掲げています。
◆再生可能な農業の研究
再生農業(リジェネラティブ農業)とは、土壌を有機物が豊富な状態へと修復することで生物多様性や自然環境を回復させる農法のことです。
農業システムは日々進化する一方、環境問題はまだ残っています。豊かな土壌づくりは、気候変動を逆転させる最も強力な手段である可能性が非常に高いのです。
◆新世代の再生可能素材の開発
ファッション業界では多くの代替素材や生地が利用できるようになり、環境面のメリットがある一方で、コスト高、耐久性の欠如、非生分解性、汚染物質といったマイナスの影響も存在します。
そのため、製品は長期的なサステナビリティの観点から最も適切なものであるかどうか、慎重に評価される必要があります。残念ながら、全方位的に満点が付けられるような解決策がないからです。
ファッション業界で使用される素材は、動物愛護の問題や、労働者の健康や環境に影響を与える可能性のある汚染物質に関して、長い間問題視されてきました。素材の革新は生産方法に影響を与え、変革する大きな機会を提供します。
わたしたちの関心は、バイオベース資源と新素材の加工技術を真に革新するバイオミミクリー技術の活用にあり、これらの分野で研究・投資を行っています。
創業者のジェニファー・ガードナーは2021年、ケンブリッジ大学サステナビリティ・リーダーシップ研究所(CISL)の「ビジネスと気候変動」コースを修了しました。最終課題として「バイオベース・レザー代替品の研究開発のための行動計画」を作成し、満点を獲得しました。
現在、香港繊維アパレル研究開発センター(HKRITA)は、香港特別行政区革新技術委員会および香港城市大学(下画像)の教授陣とともに、この計画の実行と脱炭素社会の実現に貢献するために私たちを支援しています。
■HKRITAについて
HKRITA (The Hong Kong Research Institute of Textiles and Apparel)は、公的資金を受けて2006年に創設された研究機関です。香港特別行政区政府のイノベーション・テクノロジー基金(ITF)がスポンサーする5つの機関のひとつです。HKRITAはテキスタイルとアパレル業界における、サステイナビリティおよび社会の改善を目指して様々なリサーチや取り組みを行っています。
◆クリーンエネルギーの選択
わたしたちは現在、すべての原材料を第三者であるサプライヤーから調達しており、バッグや小物の製造工場を所持していません。そのため、サプライヤーとのきめ細やかなコミュニケーションを維持し、再生可能エネルギーについて研究し、彼らの事業に応用してもらうための協働が必要不可欠となっています。
そのため、生産施設を所有するか、工場とパートナーシップを結ぶことでクリーンエネルギーの使用に直接影響を与え、その基準を設定することも中長期的な目標としています。
オフィス、倉庫、ショールーム
小規模な企業であるため、オフィスや倉庫、ショールームなどの物理的な施設はそれほど大きくありません。そのため、Scope 1とScope 2の二酸化炭素排出量は少ないものの、再生可能な資源に基づくエネルギー使用量を測定し、注視することを、成長とともに意識しています。
製造工場、サプライチェーン
製造パートナーは、スコープ3における最大の潜在的排出源となります。上記で述べたように、わたしたちはすべての上流製造業者と積極的に関わり、材料、社会的価値、エネルギー、環境要因にわたってベストプラクティスを実践しています。これは優先事項であり、現在も進行中です。
輸送
輸送は、原材料を入手する際にも、製品をお客様にお届けする際にも、二酸化炭素を大量に排出する可能性があります。同時に、わたしたちが最もコントロールしにくい分野でもあり、すべて第三者の事業者に依存しています。
第1に、脱炭素化戦略を追求する事業者に積極的に働きかけ、その行動を後押しするようなパートナーシップを結ぶよう努めています。
次に、製品に必要な原材料を生産するための近接型ソリューションの構築に積極的に取り組んでいます。私たちは、加工施設に近い農場、素材生産施設に近い農場、そしてハンドバッグの生産工場に近い農場を想定しています。これは「新世代再生可能素材」を用いたR&D戦略の重要な部分です。
製品使用
アイファーマッサンスのバッグと小物は、植物由来のヴィーガンレザーを用いることでメンテナンスが少なくて済み、製品使用時のCO2排出量も極めて少ないと推定されます。