カクタスレザー

環境への影響を最小限に抑えたサボテンレザー

サボテンから生まれるカクタスレザーは、メキシコ出身のアドリアンとマルテの2人が立ち上げたアドリアーノ・ディ・マルティ社の製品です。環境汚染問題が深刻であることを認識した2人は、サボテンからビーガンレザーを作るアイデアを思いつきます。2年間の研究開発を経て、2019年に「Desserto®」が完成しました。

原料のノパルサボテンは、サカテカス州の農園で栽培されています。この地域にもともと自生している植物で、1回の植え付けで約8年間の栽培が可能です。また、成熟した葉だけを選別して切り取るため、6〜8ヵ月ごとに新たな収穫があります。ノパルサボテンは非常に丈夫な上にトゲは小さく、人の手を傷つけず安全に収穫できます。

サボテンは乾燥地域に多いCAM植物のため、昼間は光合成を行わず、夜間にCO2を吸収します。一般的な農作物を1kg生産するのに必要な水が平均1,000リットルなのに対し、サボテンが必要とする水は200リットル程度。サボテンは天然の炭素吸収源でもあるため、農場から発生するCO2は年間15.3トンなのに対し、吸収できるCO2は年間8,100トンにのぼります。

また、農園では生えていた木を一本も切ることなくサボテンを植えることで生物多様性を守り、野生植物との調和を実現。完全なオーガニック農園であるため、除草剤や殺虫剤によって土壌がダメージを受けることはなく、野生動物にとっては良好な餌場です。

サボテンの葉は収穫後、3日間天日で乾燥させます。その後、タンパク質と繊維を抽出してバイオレジンを作り、それを環境に優しい素材の基布にコーティングしています。特許を取得した製法でデサート®が完成します。

米国農務省の「US-Organic」プログラムやドイツの「BCS OEKO-GARANTIE」プログラムで認証された土地を持つ農家と提携しています。この認証は、水などの資源の責任ある使用を保証し、土地や環境に影響を与える化学物質の使用を防ぐものです。

アドリアーノ・ディ・マルティ社では、知識と技術を農家に伝えることで、植物の経済的価値を高め、農家の収益を向上させています。

アドリアーノ・ディ・マルティ社の公式サイト(英語)
https://desserto.com.mx/home